レビュー

思い  その14

梯久美子著『この父ありて 娘たちの歳月』は同性として印象深い九人の中のお一人、萩原葉子さんの『蕁麻(いらくさ)の家』(講談社文芸文庫)を読んでみました。 bookclub.kodansha.co.jp あれまで深くご自分を詳細にお書きになったことへの勇気と、真実か…

読書について  その20

『加藤周一を21世紀に引き継ぐために加藤周一生誕百年記念国際シンポジュウム講演録』(三浦信孝・鷲巣力編)を読んでみました。なぜ今かといいますのは2年前に出版されたのですが、図書館で長く借りることができないし高価で求めるのことができなかった…

読書について  その19

『ある特別な患者-医師たちの人生を変えた患者たちの物語』(エレン・デ・フイッサー著、 芝瑞紀訳)を読んで私の心にことに重く残った物語は89の中の3つです。オランダで編集されたものですが中でも考えさせられたからです。 www.sunmark.co.jp 23番…

読書について  その18

遠い方の読書会で、瀬戸内寂聴著『白道』を読みました。高校時代に戻った気持ちになって、『西行物語』の現代語訳、地図帳を開きながら読み進めました。 bookclub.kodansha.co.jp 私は国文学にあまり興味がなかったのですが、歴史の中の平安時代から鎌倉時代…

読書について  その17

久しぶりで漱石の晩年の作品を読んでみました。『道草』『明暗』です。 はじめ「明暗」を読了したのですが、しっくりこないので、『道草』に戻ったのです。 www.shinchosha.co.jp www.shinchosha.co.jp それで、『道草』によって多くの心的謎が少しずつ私の…

読書について その16

谷川多佳子著『メランコリーの文化史 古代ギリシャから現代精神医学へ』(講談社選書メチエ)を読んでみました。 bookclub.kodansha.co.jp どうも古代や中世は私の能力のせいか馴染めなくて、第2章 ルネサンスと宗教改革 あたりから気を入れることが出来たよ…

読書について その13

今から55年ほど前の話ですが、私はかつて結婚する前の20代終わり頃に渡米に誘われたことがありました。 それは知り合いのお姉さんが進駐軍の精神科の軍医と結婚してその家族がアメリカに帰ることになり、日本人女性を雇いたいと探していたからです。男の…

読書について  その12

今、世界中の誰もがソ連のウクライナ侵攻の影響をうけているように感じます。私のように年寄りの一人り暮らしでさえ食品の値上がりで予算を変更したりしています。これまでになく、世界の中でミクロの存在として生きてるって感じます。 でも、あまりに世界史…

読書について  その11

かって美術を学んでいたこともあってヤマザキマリさんにはとても興味があり、昨年出版された『ムスコ物語』(幻冬舎)を読んでみました。 www.gentosha.co.jp 私自身自分の親子関係でとても迷いがありました。両親に対しても、子どもたちに対する親としての…

読書について  その10

考えてみるに課題は人と人との人柄の差異の中で自分がどう生活するかでした。10代半ばから何となく常識的に生きるように仕向けられてきました。しかし一方で、私の視点からは両親を含め身近な人々の生き方は決して前向きとは感じられませんでした。 私は20代…

読書について その9

斉加尚代の『何が記者を殺すのか』(集英社新書)を読んでみました。電子機器による情報の氾濫、その中の暴挙、心穏やかに何が真価を持った物かを選ぶのは難しさを感じます。年寄りが多勢になっていく現在、いったい世論はどのように形作られるか不安さえ感…

思い その8

久しぶりに以前住んでいた我が家に行きました。コロナウイルスのせいもあって気になっていた仏壇の整理がまだだったのです。仏壇の中身は以前コンパクトにして一人住まいに運んできておりました。空の仏壇を専門業者に依頼するために片づけに何度かいったの…

読書について その6

何で本を読むのをこんなに続けているか考えてみました。同じ時代を生きる他の方を知りたいって思うのです。自分の家族や周囲が自分から見ても一方的だったり、非常識だったり、それに自分もかなり染まっています。 前記で彩瀬まる著の『不在』(角川書店)に…

4月出席の読書会から

12日に新しくちょっと遠距離の図書館で開かれている読書会に出席させていただきました。 課題の本はイギリス文学の古典「高慢と偏見」ジェイン・オースティンでした。 www.kotensinyaku.jp 主人公、エリザベスに好感が持てて面白かったです。講師による説…

読書について その3

うわー、こんなにも認知症、ことに女性が本音ではうとまれているのね・・。そんな場面に出くわしてます。それは多くが連れ合いが先に旅立つためでしよう。介護が長くなるほどに精神的に苦しんでいますね。周囲は疲弊していますし、関心や熱意が失われていく…

読書について  その2

週1回、3時間で入浴と食事のデイサービス、週2回の通所リハビリを受けられるようになりました。ちょっときびしいですが、リハビリはかなり本格的で体が動くようになり効果的でいいです。このような状態になって介護保険について真剣に学んでみようと思うよ…

読書について  その1

以前からなのですが、何故か女の方が書かれたものに惹かれてしまうのです。その訳を探ろうとすると、どうしてか考えが纏まらなくなってしなうので、探るのを先延ばししています。 そのためか本棚の古い本の中に小谷瑞穂子の『ユダヤ系芸術家たち』があったの…

独り暮らし1年目を終わるにあたり

振り返って考えてみると、この一年くらいは人生の中でかつてなかったほど、テレビのドキュメンタリー番組をじっくり見たり、ノンフィクションの著書を読む機会を持ちました。今までは多忙で時間を取っていなかったですし、コロナウイルスの影響ももちろんあ…

アーミッシュの老いと終焉 (堤 純子:著)を読んで

www.michitani.com プロテスタントの人々の生活は以前から、興味がありました。かって、自分も10代後半にプロテスタントのミッションスクールで様々の作業をで学んだ事がありました。今もこの時の価値観は少なからず残っているように思います。このところ…

『父と娘の認知症日記』長谷川和夫・南高まり著を読んで

www.chuohoki.co.jp ご存じの通り、認知症研究者ご本人が認知症になられた記録なのですが、あまりに高名な方なので、どのような経過を辿られているか関心がありました。 恵まれたお立場にいらしゃることもあってのことなのでしょうが、読んでいてほのぼのと…

思い その4

ブルデューの『認識と反省性』(磯 直樹著 法政大学出版局)を読んで、私の実生活の人付き合いの問題の闇は深まってしまいました。集中して、雑念なしに読めていないようです。益々、自分流儀の勝手取りの読み方になっているようです。 www.h-up.com 確かに…

100分de名著 ブルデュー 「ディスタンクシオン」2020年12月を読んで

年末に教育テレビをみて感じ入りテキストを求めて、改めて読んでみました。 www.nhk.or.jp かなり重い内容なので時間をかけて味わってみました。自分のポジションを確かめる方向へずんずん引き寄せられました。まさに教育分析のような感じです。そして51ペ…

思い その3

新型コロナウイルスのためにすべての集まりは中止になりました。 読書会もです。ごく少数の家族での正月でした。 最近は本を読むか、テレビの番組を探してドキュメンタリーを見るか、いたずらにパソコンゲームをするかしておりました。その他は家事と散歩と…

かなしろにゃんこ。さんの本を読んで

本との出会いは相談の仕事をしている娘から貸してもらったのがきっかけでした。 おお、これは分かりやすいし、現実的だと感じました。 bookclub.kodansha.co.jp bookclub.kodansha.co.jp にゃんこ。さんの元気と判断力はどこから出てきているんだろう。私の…

読書会 その2 -『愛と暴力の戦後とその後』(赤坂真理著 講談社現代新書)を読んで-

12月の課題本は盛り沢山の内容でした。 bookclub.kodansha.co.jp 日本の教育制度について、そして近現代史がどの様にカリキュラムのなかで扱われているか、憲法制度などなど。歴史や政治の裏側について学び、深めること、決意しておくことがたくさんありまし…

思い その2

先日55年程前出会いのあった教え子と、55年ぶりに電話で会話する機会がありました。 彼は国立大の法学部をでて民間のIT企業で2年程働き、Uターンして地方都市の公務員になった方です。かなりの覚悟があってご自分の足場をつくってこられたように感じました。…

赤坂真理著『愛と性と存在のはなし』 (NHK出版新書640)を読んで

www.nhk-book.co.jp 81歳になった私が読んでも心波立ちました。心の揺れが鎮まるのを待って、書き始めました。2日ほどの時間の中で自分の感性を探めました。そしてたぶん死に至るまで、個人として自分であることの感じ取りは、何らかの形で残るように意識さ…

読書会  その2

課題『大分断』(エマニュエル・トッド PHP新書) 5人の会でした。 www.php.co.jp 一人の一人の話す時間が取れてよかったのですが、おひとりが課題本を読んでいなかったので進行がちょっと乱れたように感じました。会が重なれば空気も変わっていくことを期…

遺書について そのⅠ

80歳になったとき遺書を作りました。遺書にはいろんな見方があり、批判もあると思いますが、自分が生きているはっきりした意識ある時期に意志を確かめてそれにある程度沿って生きようとしたからです。大まかな枠とでも言ったらいいでしょうか。 遺書に加えて…

『ADHDの正体ーその診断は正しいのか』岡田貴司著(新潮社)を読んで

192ページ時以降も含めて私にとって本当に頷けることの多い本でした。 育児や子育てを子どもに重きをおいて手をかけて大切にし信頼関係を築くこと、この問題は今の日本では大変実行が困難になってきていると感じます。 私自身が進んで子育てをしようとしたの…