読書について その9

斉加尚代の『何が記者を殺すのか』(集英社新書)を読んでみました。電子機器による情報の氾濫、その中の暴挙、心穏やかに何が真価を持った物かを選ぶのは難しさを感じます。年寄りが多勢になっていく現在、いったい世論はどのように形作られるか不安さえ感じました。

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また最近では元首相の暗殺事件にまつわる報道をどのように理解すべきか考え込んでおります。時代の変化が速くコロナの時代でもあり着実に自分に合う学びを得たいです。

 

また、読書会で知り合った方の影響もあって図書館からE.H.カーの『歴史とは何か』(岩波書店)を読み、本気になってこのあたりを学びなおそうと思いました。手元に置いて何回か大事な要点を味わってみたいです。

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時間と共に以前学んだプロテスタンティズムの生活や心理療法の理論の評価も変化してます。しかし私にとってですけど大事な事実が何であったか見定めることは生きがいでもある訳です。

 

『歴史とは何か』に著されている時代はまさに自分の生きた時代でした。その時代私は何をしていたのか?と考えてみますと、青年期まで地方都市でローカルな文化の中におりました。幼児期は太平洋戦争期でしたが、父は学徒動員生を引率して横須賀に勤務し家を離れておりました。兄は師範の学寮から学徒動員、姉も家から動員されていました。幸い我が家の場合は犠牲は少なかったのですが、戦後は父がなぜか私の目から見て向上心のない人になった感じがしました。戦争は父方母方双方の親族にも影響があり、ことに母方の親族は人的に壊滅状態でした。

 

その間私は女の子として小さく怠惰に育っていました。地方都市で教育を受け、その後上京して、曲りなりにも学びこうして今ある事を振り返っています。結婚してからはいかに家族運営をしていくか余裕なく学びや試行錯誤の連続でした。

 

そのような過程を経て今やっとポスト構造主義もほんのうっすらとですが分かってきています。「カー」の巨大で膨大な著作に私ごとき市井の婆さんがぼちぼち挑んでみるのもいいかなんて思ってます。このような時間はありがたいです。いまごろ虫食い穴だらけの思考を補うべく、またまた自己流に楽しんでいます。