読書について その16

谷川多佳子著『メランコリーの文化史 古代ギリシャから現代精神医学へ』(講談社選書メチエ)を読んでみました。

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どうも古代や中世は私の能力のせいか馴染めなくて、第2章 ルネサンス宗教改革 あたりから気を入れることが出来たように思います。
61ページ図1デューラーメランコリアⅠ 1514年 を見入っているうちに、制作者各人が絵の中に醸しだす情感について考えさせられました。そこには視覚よる表現でしか表せない豊かな世界があると感じました。また視覚に訴えて改めて見えてくる様々な物事を考えさせられました。
第3章 近代の始まり によると近代末にはメランコリーは治療の対象になったようです。最も心惹かれたのは第4章 現代へ です。若い時代少しフロイトの晩年の思想を枠組みに考えてきた自分にとっては大変良い刺激になりました。老人である今、死に対する構えの仕切り直しにもなりました。
個々人が色々な形で自由に表現できるような場がある事を望みます。そこから生まれる変化を考えています。
著者は多くのジャコメッテイの作品を直接鑑賞されたとのことで、羨ましいかぎりです。