asd-granmaのブログ

86歳のおばあさんです

思い 118

9月の読書会の課題本だった、川北稔著『世界システム論講義』(ちくま学芸文庫)は私にかなり強く歴史の味わい方を残しました。

www.chikumashobo.co.jpある

そして、10月6日午前に観たNHKBSスペシャル『ボーダーシティ 中国雲南省に生きるミャンマー人たち』は中国を知る衝撃的な番組でした。ミャンマーと中国の関係性がリアルに見えました。ヘゲモニー国家としての中国が発展していっていることが理解できました。

www.nhk-ondemand.jp

中国の政策、人的資源管理の在り方が、蓄積されてきているのが分かり、そして国境を幾つも持つ中国は同じような仕組みで他の国からも人材を獲得しているように想像しました。中国でミャンマー人は中国人の半分の賃金で働いていることも知りました。

地域限定ではあるもののそれが大規模に囲い込まれ、国家として制度もオープンであるようです。日本でも外国人労働者に対する問題を度々耳にしますが、中国の制度を垣間見ることで、日本の在り方との違いを感じられました。このような現地人の生の姿、生活がみえる番組は思考の材料になります。

中国の広く底深く強いパワーをこれからも稚拙ながら観ていきたいです。

思い 117

今回借りた本の中に伊東比呂美著『わたしのおとうさんのりゅう』(左右社)がありました。伊藤比呂美の著書は詩の解説書しか読んだことがないので読んでみました。

sayusha.com

途轍もなく引き込まれてしまいました。まず、こんなにも実直に親族を含めて物語を表現されたことに、ただただ敬意を覚えています。 
このノンフィクションは自分の生きた時代と重なる部分が多く、背景にある時代の力を想像しながら読みました。時代の力と流動する基になるものを意識して感じとりたいと思いました。戦前、戦中、戦後の激動の時代の変化の中に置かれた親族の様相が伝わってきました。

自分は物心両面からあの時代どのように家族が暮らしたかによって戦後にそれが決定づけられ継続されたと感じることが多いです。苦心して生きてきた、親族から作者が個人として受けたプラスの影響と恩恵がみえました。
作者の幼い頃お父さんが童話の読み聞かせをしていらしたのには感激しました。身の回りに読み物も多く、大切にされていたのです。人間味あふれる親族のパワーを感じました。作者が父母の生涯を深く追求して自分の確実な自己を確立されているのだと伺われます。事実の地盤の上で生きる強さがすごいです。
ことに本の題名どおりのお父さんからの高い能力を受け継いで今があるようです。

思い 116

朝の散歩を怠けたらお終いだと自分を励ましながら、4,50分やっと何とかしてます。図書館にリクエストしていた小説が3冊一気に手元へやってきました。直接の関係では無いのですが、コーヒー好きの私はブラジルの作者のものをと思って読んでみました。最近翻訳出版された『太陽に撃ち抜かれて』(ジョヴァーニ・マルチンス著 福嶋伸洋訳 河出書房新社)です。

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読み進むごとに落ち着かない表現と内容にかなりの距離感がありました。それに対して何とかして分かろうと読み切りました。この短編集は若者が幼少期から自立する時期の周囲の出来事やそれにまつわる人々の関係を口語体風に描かれたものです。

作者はリオデジャネイロの貧困層の住む丘で育ち、リオの市街内部を移動して様々な仕事をし広い見知を持った人のようです。かなりの貧困のなかににあり、拳銃や麻薬が横行しているような日常がありました。想像して、不健全で恐ろしいことです。

現在でも1970年代の軍事政権下の厳しさや、治安の悪さが残っているようです。作者は1991年生まれで、この作品はデビュー作で後に彼にしかなし得ない表現手段を獲得したことによって、長編小説もものにし一つの時代を描いているようです。翻訳されたら読んでみたいです。この短編の「訳者あとがき」でリオの丘ファヴェーラは単なるブラジル社会の恥部や問題の一つの結果ではなく、歴史が複雑に織りなしてきた多様な問題の産物であるとしています。  

またこのあとがきには短編、一編一編の丁重な解説があり、訳者の読者へのメッセージとして読み取りました。いっそう自分が時代を共にしている地球の向こう側に、様々に生存している人々の居ることを思い知らされました。 

それにブラジルの同時代の上層社会の事ですが、2024年に公開された映画『アイム・スティル・ヒア』を思い出しています。映画については確か「ブログ思い87」に書きました。70年代から最近までの一家族に起こった複雑な時代背景を含めた映像でした。

klockworx.com

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映画のモデルになった実在した家族、短編の著者マルチンス、老いた小さな自分、今それぞれ異なった「生」を生きているんだなという思いです。

思い 115

9月の読書会の課題は『世界システム論講義 ヨーロッパと近代世界』(川北稔著 ちくま学芸文庫)でした。放送大学で講じられた「世界システム論」を基にして書かれたものでした。それは自分が興味を感じている世界史でした。ことにコロナ流行を経て世界の全体的な様相を知りたい思いは強まりました。なので、ぴったりな本の推薦は嬉しかったです。

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現代社会の成立と構造が地球規模として浮かび、考え方が広がりました。時代の変化が見え、それぞれのヘゲモニー国家への自分なりの感想を持ちました。ことにイギリスに対してはもう一度歴史を確認したい気持ちです。

イギリスの過去に読んだ近現代文学のなかの特にノンフィクションを思い出しています。植民地に関係する物語や階級社会での不幸な顛末などです。

それに加えて、ヘゲモニー国家として陰りがみえているアメリカ、強い中国をもっと知りたいと思っています。  

余分な危惧かもしれませんが、ニュースでエボラ出血熱の流行が報じられていました。流動する世界で感染が広がることをおそれています。

思い 114

この夏の暑さを乗り切ろうと工夫していました。涼しいうちに散歩をきりあげ、シャワーをあび、日課ごとの家事をして残りを読書に当てます。

最近は読書に当てる時間が短くなって自分でも恐れています。じっくりと読む時間が短くコマ切れ状態です。テレビの時間、じーっとして連想する時間が前より増えてます。おおこれは危ういって感じですね。これまで週二冊ぐらい楽しめていた読書は長いのだとここに来て一冊の本を味わうのがやっとです。

今月は、ポール・オースターの『冬の日誌/内面からの報告書』(柴田元幸著 新潮文庫)を読了したのですが、彼が率直に生い立ちを綴っていることに、端的な誠実さを感じました。

www.shinchosha.co.jp

 

彼がユダヤ系であったせいであるかもしれませんが、アメリカでは国を超えての学びは容易であることと言葉に関する壁が日本人とは異なりますね。それに随分早い年齢から個人として自立を促され自活するようです。学歴社会であり階級社会であり、有名な大学で教育を終えるのが困難です。物書きとして成功した彼の様相が解かりました。 

もう一冊は同じアメリカのSF『逆まわりの世界』(フイリップ・K・デイック著 小尾美沙訳 早川書房)です。

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これは若い世代の方の中に参加させてもらっている読書会の課題本でした。
読み始めて、およそ自分では選びそうにない本でどう読みこなすか躊躇しました。沢山出てくる人物の名前を書き込み地図のように関連を明記していくうちに複雑な構図が読めました。背景の時間の変化が逆まわりで、それを個々人に踏まえて考えていくわけですから、刺激になりました。味わってみれば現代風でありながら古典の香りがしました。デイック幻想文学に誘われ、会で若い世代の鋭い読みを知ることができました。

読後驚いたのですが、暫くして固定されていた自分の時間や時代の枠が緩み、より深く現代史や思想を味わい直してみなければならない方向へ考えが向きました。幻想文学への婆さんの偏見が正されました。   

思い 113

自分は、時間と共に行動範囲が狭まっています。この暑さでは朝40分位歩くと、その後行動力が持たないのです。こうした変化をおだやかにやり過ごしたいのです。

そこで年行った方の内面を描いた著書に出会いたいと願っていました。そんな中丁度、ポール・オースターの遺作『バウム・ガートナー』(柴田元幸訳 新潮社)をリクエストしていて順番がやっと回ってきました。一気読みでした。著者は東ヨ-ロッパからアメリカに移民としてきたユダヤ系から生を受けた背景をもっていたようです。

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物語の優秀な主人公からアメリカ社会の中で個人を確立していく学びや過程を知ることが出来ました。日本人にはないバックグラウンドの広さと温かさを感じました。それと女性の意思を持つこと潔さが認められることが分かりました。

著者が肺がんに疾患した後書かれたこともあってか、老いていく主人公を愛おしんで表現しているように思いました。

老いを受け入れていく柔らかさ、ひろさ、いいですね。でも結末にちょっと驚き戸惑いました。

思い 112

暑い日が連続で元気が出ません。でも頑張って、子どもに手伝ってもらって部屋のカーテンを洗いました。部屋が明るくなり、冬布団の洗濯も頼めてほっとしました。

身の回りのことを進めながら、4,5日時間があったので『ふたりの読書会 無期受刑者との本をめぐる往復書簡』(向井和美著 岩波書店出版)を読破し、お二人の読書に対する熱意に圧倒されました。

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book.asahi.com

この本は少し前同じ著者の『読書会という幸福』を読書会で取り上げていたで関連で求めたのでした。そして、向井和美さんは何年か前にカナダの『プリズン・ブック・クラブ』も翻訳されていました。これほどまでに本に入れ込んで熱意を持って生きておられることに驚くばかりです。

www.iwanami.co.jp

 

booksitoito.stores.jp

なにしろ『ふたりの読書会』は一年分の往復書簡なのですが、大よそ読むべき本が網羅されているのではと思われるような内容でした。感激して涙したり、怒ってみたり、取り上げられている著書に、「おお、これは読んでおきたい本だな」と感じたりしました。この著述の後もなお、お二人の往復書簡は続けられているとのことで、著者の行動力、継続力に驚くばかりです。 

自分は日頃感じているのですが、どうしても二者関係が感情を確認する基本のように思えるのです。もちろん孤独で居る時も露わになります。著書のなかの関係性に肉親によって培われた感性がありありと姿を現わされていました。それによって左右されてきた足跡が自分にも自分事のように提示されました。

そして自分と両親との関係系から育成された現実的な人間性を吟味する機会でもありました。ここに来てこれまで紆余曲折してきた自分の思いと、読書の在り方を顧みる鋭い本との出会いでした。