この夏の暑さを乗り切ろうと工夫していました。涼しいうちに散歩をきりあげ、シャワーをあび、日課ごとの家事をして残りを読書に当てます。
最近は読書に当てる時間が短くなって自分でも恐れています。じっくりと読む時間が短くコマ切れ状態です。テレビの時間、じーっとして連想する時間が前より増えてます。おおこれは危ういって感じですね。これまで週二冊ぐらい楽しめていた読書は長いのだとここに来て一冊の本を味わうのがやっとです。
今月は、ポール・オースターの『冬の日誌/内面からの報告書』(柴田元幸著 新潮文庫)を読了したのですが、彼が率直に生い立ちを綴っていることに、端的な誠実さを感じました。
彼がユダヤ系であったせいであるかもしれませんが、アメリカでは国を超えての学びは容易であることと言葉に関する壁が日本人とは異なりますね。それに随分早い年齢から個人として自立を促され自活するようです。学歴社会であり階級社会であり、有名な大学で教育を終えるのが困難です。物書きとして成功した彼の様相が解かりました。
もう一冊は同じアメリカのSF『逆まわりの世界』(フイリップ・K・デイック著 小尾美沙訳 早川書房)です。
これは若い世代の方の中に参加させてもらっている読書会の課題本でした。
読み始めて、およそ自分では選びそうにない本でどう読みこなすか躊躇しました。沢山出てくる人物の名前を書き込み地図のように関連を明記していくうちに複雑な構図が読めました。背景の時間の変化が逆まわりで、それを個々人に踏まえて考えていくわけですから、刺激になりました。味わってみれば現代風でありながら古典の香りがしました。デイック幻想文学に誘われ、会で若い世代の鋭い読みを知ることができました。
読後驚いたのですが、暫くして固定されていた自分の時間や時代の枠が緩み、より深く現代史や思想を味わい直してみなければならない方向へ考えが向きました。幻想文学への婆さんの偏見が正されました。