読書について その21

『この父ありて 娘たちの歳月』(梯久美子著 を読みました。どうしてもノンフィクションに引きこまれてしまいます。名作を生んだ9人の女性作家、書かれた方も女性です。

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拙いことかもしれませんが、わたしは性に拘って本を選んでいるわけではないのですが、本の方が馴染んできてくれるように身体的な感性が強く働いてしまうのです。

顕されている9人の方の歴史、地域、大きくは階層、出会いが異なります。しかし、それがぞれに父親と繋がっています。その上であのように強くそして深遠な作品を生んでいった作者に今更の驚きを感じました。

自分の階層からし石垣りん萩原葉子石牟礼道子などは少しは生活が想像ができます。ことに石垣りんの生活感情の表現にはあまりにあからさまであり、心が動揺しました。それに現状への対応が忍耐と誠実さでなされたことにも圧倒されました。

後の6人の方がたは、渡辺和子、齊藤史、島尾ミホ茨木のり子田辺聖子辺見じゅんです。戦前生まれの女性の数奇な生涯の中で結実した著書を改めて味わい直したい思いが沸いてしまいました。