思い24

この頃自分の考え方の基になってきたものを確かめています。青春期から疑問視し、どうしてもなじめなかった両親の生き方、親族との関係から始まっていたものです。そこを離れ、個として生きるための抗いに多くのエネルギーを使いました。84才の自分は時代的にも変化の激しい時間を経ることになったと強く感じています。

今は以前にも増して様々な生活感を持った方がおられるようです。それだからと言って差異を盾にして生きることに疑問も感じています。一方では大多数のコモンセンスというか常識の中で多くのことが成り立っている訳です。そして、常識の中に存在することに憧れを持っている自分もいます。よくよく解ろうすればするほど感性の異なりや生体の違いは基本としてどうしようもなくある訳です。

こんなことを感じていた時、ぴったりとはいかなくも朝井リョウ著『正欲』(新潮社)を読みました。スマホ時代の現代の世相が年寄りにも解りやすく、このような広い繋りが起こりうるのだなって感心いたしました。

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ユーチューブによって個人の好みが公表される時の意外な波紋に大変な驚きを感じました。法の規制も時代の変化に伴ってどんどん変わっていくこと、それに伴って締め付けも起こっている等もですが、仕向け方によっては幼い子たちが安易に興味を持ち、強く魅かれて無邪気にバーチャルな世界に溺れてしまうことにも恐れを感じました。

こんなに簡単に外部と無防備に繋がってしまうことにもですし、それを一部の大人が大人の好みとして取り込み楽しみ、搾取することもありうるこということにもです。実にそれぞれが感性を大切に自由に生きるのが難しいと感じます。

多様性を尊重しながらお互いが無関心ではない形でつながることについて、どう考えたら収まりがつくのか今心は定まらない状態になっています。先に書いた宇佐美りん著『推し、燃ゆ』と同時に今という時代の問題を的確に文学として扱っているようで私としては見事だなって感心いたしました。

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勿論知人の中に何人かはこういうの読みたくないってはっきり言われる方もおられ、そんな風に避けたい感性を時間をかけ、しばらくあれこれどのような立場でなのかを考えました。感性への考え方が多少広がったと思います。