思い  27

以前にも増して会話のない毎日です。子供は週2回は来ております。ことに土曜の夜は私が食事をこしらえて読書の話や人間関係の話をするので、子どもは安心しているようなのですが、なんか物足りないのですね。贅沢かと思うのですが。

しかし歳行ってから新しい場所で交流する相手をつくる困難さをしみじみと感じています。仕事の対象ではなく自分を知ってくれている人が少ないということの収まりの悪さなのでしょう。これから先子供以外の方に身体介護を委ねる覚悟をどうつくれば良いものか考えさせられております。自分も扱い難い老人のようです。弱者であることケアを受ける立場を如何に自覚すればよいのか迷う毎日です。

児玉真美著『安楽死が合法の国で起こっておこっていること』(ちくま新書)を読んでみました。著者自身の体験から滲み出る想いに、また今日の医療の現場の仕組みの世界規模での変化等自分の思考を広げる読書となりました。著者の鋭く強いお人柄は想像を超えているような思いを致しました。

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自分の両親は検体を希望しそれを兄妹で実行したので、はやくから、尊厳死に興味をもち80才で公正証書を作りました。でもこの本をじっくり読んでみて複雑な気持ちにかられました。証書は果たして妥当であったかです。これほど複雑で奥深い問題を宗教感を少なくしか持たない自分に果たしてこのまま持ち堪えられるだろうか疑問も感じました。しかし決めたように、これで子供に委ねる道をとることにしましょう。

先週やっと前に図書館に予約して順番が回ってきた小説、トヴェ・ディトレウセン著『結婚/毒』コペンハーゲン三部作(訳枇谷玲子 みすず書房)を読んでみました。

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著者の経験のおおよそを題材とした、子ども時代、青春時代、四度の結婚、描かれていて圧巻でした。かなり以前より北欧の文化には興味があったのでこの437ページある本を2日間夢中になって読んでしまいました。女性が自分の感性を大事にして自己責任をもって生きることの困難さが感じられました。著者が労働者階級の中で育ち、庶民に親しみと共感を持たれて読み継がれていることが理解できました。第二次世界大戦前後のデンマークの様子、庶民の規範や生活のありさまなどが著されていて我が国と異なる点を思い知らされました。

時代も傾向性も異なる女性による2冊の著書に心動かされました。