思い 47

少し前、思い40にも書いたのですが先月は伊集院静「海峡」が読書会での課題本でした。

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その関連で先月末、知人から2010年に出された「オール読物」特別対談「父と母から受け継いだもの」(2010年9月号)のコピーが送られてきました。姜尚中氏と伊集院静氏の対談です。

https://www.fujisan.co.jp/product/1281679612/b/428743/

じっくり読んでみて終末の見出し「文学の力を信じて」の部分には強く、引き付けられました。その中で姜さんが「社会科学者の言葉は、今やごく少数の人にしか届かないジャルゴンだからです。」とありました。姜氏さえ敢えてジャルゴンと表現している訳です。確かに専門用語には深く学んでしか語彙を解せない部分があるようです。ここで言われていることはとても的を得ています。

逆に文学作品ことに小説の魅力は、私をも、虜にするところがあります。時代の空気にも沿っています。この対談の中でお二人が出された新刊を話題にしているいるので読んでみました。
一冊目、伊集院静著「お父やんとオジさん」講談社刊 大河作品です。

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二冊目、姜尚中著「母 オモニ」集英社文庫

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のんきな独り暮らしなのでかなりのスピードで二冊を読みました。物語の力は強く、日韓関係を歴史書で読む事がどのように表層的か思い知らされました。日本人によって行われた残虐行為など、なにも知らなかったと同類だったように感じられました。

先の大戦の時代を辛酸をなめて生きた中国や朝鮮の人々の有様を考え、その行為のひどさが今もずっと強く尾を引き消えない在り様が感じられました。

ことに朝鮮戦争の様相がこの二冊の著書からリアルに伝わってきました。戦争が市井に生きる者へ広く深くどのように影響するか描かれていました。この様な学びの種をまいて頂ける交友関係は、本当に大切です。世界をみる俯瞰の仕方が変化します。文学における心の引き出しが増えるお勧めは、有り難いことです。