思い 43

毎週土曜の夜、娘婿と娘と3人で食事をして身辺の出来事とか話して、次週のスケジールの打ち合わせをしています。ここ4年休みなしです。婿さんと同じ本を読む事もあります。彼は若い時代かなり左寄りな時を送りIT産業で働くことになり、自分の偏った性格に悩み発達診断を受けた一人です。

幸い自分の開発したソフトウェアで自立した生活を娘と共働きで頑張ってます。私から見たら全く間尺に合っていないのではないかと思うようですが、オープンソースでやってます。好きなことを仕事にする人の典型みたいな人ですが、穏やかな面もあり、付き合いをお願いしています。数少ない家族です。

彼の両親も文系のかなりの研究者でそのせいもあってか彼は認めないかもしれませんが、ご両親が同じような立ち位置にある鈴木涼美さんの作品を読むように感じます。過去に話題として、上野千鶴子さんとの『往復書簡 限界から始まる』(幻冬舎)や、『浮き身』(新潮社)等話題にしてきました。

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今回そのような縁で『トラディション』(講談社)を読んでみました。鈴木涼美さんのどの作品を読んでもはじめは社会学の枠を超えた個人の作品として読んでしまいます。でも作品の成り立ちを自分なりによく考察すると春を鬻ぐ世界の成り立ちや構造が見えてくるようになります。自分等あまり考えに入れてこなかった世界がそこに表現されていました。現在という時間の中にある遊びの一つの世界を考察しました。

この世界のトラディション、つまりしきたり、ある面でずっと続いているもの、この見えない束縛の闇の観照に誘っていただきました。